短歌

風物詩に時の流れ感じつつ懐かし想い色濃く栄えて

朝早く鳴き始める蝉たちにフライングだと告げる寝起きざま

夜遅くゲームの音鳴り響く子供たちのもう一つの夏

移りゆく季節にそっと告げてみる変わらぬ日々をまた一年後

土の山崩してみればはじめより土の量が多く感じらる

本棚のうまる楽しさあるけれどうまり果てれば悩みの種に

じっくりと教えて欲しい君の過去知れば知るほど愛おしくなる

炎天下涼を求めて立ちどまる家路の速度牛歩のごとく

元気あるはずむ声だが知ってるよ無理するときに君がつく嘘

旅立った君を求めてビデオ見る霞んで会えぬ雨の七夕

水まく人を見ながらの夕涼み夕立あると告げども聞かず

夏色にはえる黒服あざやかで荼毘の行列蛇に見えたり

原爆の脅威しめした遺物たち静かにあるが雄弁である

たまに乗る新幹線の雰囲気は季節の催しに似たものか

日中に生徒の姿よく出会う期末テストの時期になったか

虫たちの求愛ダンス始まった満月浮かぶ静かな夜に

螢火に照らされ歩く散歩道浮き世を離れ行き先知らず

暑かったあの日一緒に植えた花この夏もまた無事咲きました

夕闇でやるかやめるか庭作業迷うあいだに日が沈みきる

咲き誇る花の陰にて枯れる花栄枯盛衰世の習いなり

夢ならねすぐにできるよ君とならずうっと一緒にいてください

懐かしいお菓子見つけて思い出すこれが好きだと言っていた君

雨降らず快晴続き梅雨終わり雨ごい蛙声からしたか

デカルトに言われなくても気づいたさ書を捨て街に出る大切さ

離れると初めて気づく郷土味思い出すほど恋しいばかり

壊れない傘をつくればどこまでも飛んでいけるか台風の空

君が持つ唯一無二のストーリー聞ければ僕は心に綴る

草のかげ岩のかげにか隠れてて見つけにくいな君という花

台風が近づくことのわくわくは洗い流されたい願望か

空梅雨で埃まいたつ庭めがけ水ふりまけば蛙鳴きだす