読了

気がつけば1時間で読み終えてた。
小説を書き始めたばかりの素人臭い文章であるし、主人公の変化など平凡な展開であるのだけど、力があるんだろうね。良い作品だなって思った。
人の心を動かす文学の力って、体裁なんて関係なく、その中に込められた作者の”志”なんだろうな。”魂”と言ってしまうとちょっと味気ないけど。
始まりから3分の1ほどは、特に素人臭く、ぶれた安定しない書き方なんだけど、残りの3分の2は、勢いにのって、いきいきとしたものになってる。
先に平凡な展開、と言ってたが、終盤の展開はちょっと裏切られた。こうもっていくんだろうなと予想して読んだが、見事に外れた。この作品がとった方向の方がかなり有効だった。やっぱり良い作品だと認めざるを得ない。
せつなくなるような純真さを持つ主人公か。悲哀にみちた作品。
ただ、作品としては全体的に”間”が欲しいと思った。あまりにもとんとんと進むので、そのすすみ具合がつまらなく思えた。会話の”間”でもいい、動作の”間”でもいい、そういったものがあればいいのに。ただ、これは小説が上達してから描けるものなのかも。
20歳の作品としてはすごいね、やっぱり。