風がやたらと強かった。
夜の散歩時もまだ少し風が強く、台風が過ぎ去ったあとの雰囲気に似ていた。
この強風は寒気が入り込んだせいだそうだが、この寒気のためか、今日の夜空はすごく澄んでいた。星が眩しいほどに輝いていた。
20時過ぎにも関わらず、西の空がほんのり赤く、深い藍色をした雲にも赤みがかかっていた。強い風のため、雲はものすごく速く右から左へ流れていた。遠くの木々は風の中で踊り狂っている。まわりには何もないあぜ道にぽつんと立ちつくし、幽かに燃えている西の空を眺めていると、不意に”世界の終わり”を見ている錯覚に襲われる。
村上春樹の作品に引用されている一節を思い出した。

太陽はなぜ今も輝きつづけるのか
鳥たちはなぜ唄いつづけるのか
彼らは知らないのだろうか
世界がもう終ってしまったことを
   ”THE END OF THE WORLD”