自信を持ちなさい。
と、ただただ言われたことがある。
20歳の頃に体を壊し、脱社会で療養生活をほそぼそと2年くらいやっていたのだけど、その間に霊能力者に会ったことがある。
あちこちの病院に行けれども、体調不良の原因は不明だった。最終的には自律神経失調症と病名を与えられたが、そんな病名を与えられても、症状が改善することはなかった。
そんなとき、親戚のおばさんの知り合いに、霊能力者がいるというので会いに行ったことがある。科学的に体調不良の説明が無理なら、非科学的に見てもらおうというわけだ。僕はどうでも良かったのだけど、おばさんが心配してくれていたので、勧められるまま行ったのだ。
その人は霊能力者として商売をしているわけではなかった。料理屋の女将さんだった。ただ、そういった能力があるので、人から見てくれと頼まれれば、霊関係のことについていろいろ話をすることがあるということだった。見てもらっても特別お金はかからない。
料理屋なので、普通に食事をした。そして食事中の雑談の中で、女将さんと霊についての話をした。
いや、話をしたと言うより、話を聞いたという方が正しいかもしれない。僕が何も話さないうちに、僕のことについていろいろ話をされた。僕のそれまでの過去についてや僕が日頃考えていることまで。それがことごとく当たっていたので、僕は言葉を失った。完全に見透かされているのだ。不気味だった。こういう能力を持った人はいるんだなとしみじみ思った。
それで、体を壊していた”今”の話になると、「ああ、レールから外れてるわ」と言われた。今はもう道から外れてしまっているから、なにもうまくいかない。でもそのうち必ず良くなるから、と言われた。
そして、自信を持ちなさいと強く言われた。もっと自信を持ちなさい。そうすればうまくいくから、と繰り返し言われた。
僕に何か可能性を見て言った言葉なのか。ただ元気づけるために言った言葉なのか。それはわからないけれど、繰り返し言われたそのときは、なんとなく元気が出た。
このときの霊視の結果、体調不良に霊的な障りはないということだった。そして、僕の前世は女性であるらしいし、守護霊も女性であるらしかった。だから女性を相手にする仕事をすればいいよとも言われた。女性を相手にする仕事って、ホストかぁ? って内心思ったことを覚えている。


自信を持ちなさい。と言われてもなかなか持てるものではないかもしれない。昔は根拠のない自信にあふれていたけれど、そんなものはいつの間にか消えていた。
しかし、最近、自分が今まで多くの時間をかけてきたことに対しては、もっと自信を持ってもいいかも、とじわじわと思い始めている。根拠のない自信には違いないのだけど、持たないよりはましだという気になった。弱気なままだとどうにも動けない。なにも始まらない。