不思議なことなどなにもないのだよ

高校の国語の時間以来小説を読んだことが無いという友人（年下女）が、なにか本を読みたい、と言い始め、なにがいいかな、と訊いてきたのだけど、これにはどう答えたものか迷ってしまった。
元来、僕の読書趣味は一般的ではないと自認しているので、人に本を薦めることは遠慮しているのだ。
迷った。しかしとりあえず、僕は２人の小説家によって人生観が多少変えられた、という話をし、その作家である村上春樹と京極夏彦の名前を挙げておいた。
すると彼女はその２人の作家のデビュー作を読んだ。
小説を読み慣れていないのに京極夏彦のあの長い小説を読み終えることができたなんて、なかなかの読書体力を持っているようだ、と感心してしまった。するとどうやら読書することに”はまった”ようで、さっそく次の『魍魎の匣』を買ったと言う。
また一人京極堂中毒者を誕生させてしまった。
ただ、この京極堂シリーズってのは『塗り仏の宴』までで良いのかも。
ミステリ師匠が、京極夏彦の衰退ぶりは激しい、というような事を言っていたのだけど、これには僕も激しく同意してしまう。最近の作品はちょっとよろしくないです。