あの日から

モンちゃんが大学3年の頃、僕は俳優の養成学校を卒業し小さな劇団に所属していた。まだ舞台に立ったことはなく劇団では裏方の仕事をしていた。テレビドラマにエキストラで出演することが数回あっただけで、きちんとした役者の仕事はまだできてなかった。 そ…

距離が開き始めていた僕とモンちゃんの関係が再び縮まるときがあった。それは沙織という女性の登場によってもたらされた。 沙織はモンちゃんと同じ大学に通っていた。僕らより1つ年上だった。化粧をほとんどしない美しい人だった。鼻筋は通り切れ長の目は涼…

高校を卒業し、僕とモンちゃんは東京に出た。一緒に広い部屋に住むことを考えていたが、ちょうど良い物件が無く、別々に部屋を借りることにしたが、建物は同じだった。モンちゃんは大学に行き、僕は役者の養成学校に通った。 上京した頃は毎晩一緒に御飯を食…

なぜかモンちゃんの顔を思い出した。 40歳が近くなり、そうでなくともふけ顔であった僕にコンビニの派手な制服は似合うはずもなく、ようやく仕事に離れ始めたがその制服のせいで職場にはまだ馴染めなかった。 レジに立ち接客しているなかで、不意に幼なじみ…