夏目漱石の『草枕』を書棚から探し出して、ぱらぱら見ていたのだけど、この作品は最初の数ページを読むだけで満足かもしれない。オーケーと呟いて本を閉じられる。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

この作品って冒頭から鬱々としているのだけど、なかなか好き。