引き続き、id:minkoさんの文章を引用させてもらって綸太郎話をしますけども。

重めの題材なわりにはタッチが軽めというか、非常に読みやすい。無駄な装飾一切なくて、シャープだなと思った。多分、綸太郎がうじうじ悩んだりしてないせいで、そう思ったのだろう。これ前作からどのくらい時間が経過した話なんですかね?(前作読み直してないもんで)綸太郎が淡白というか情熱不足というか歳とったというか、わざわざ事件をこねくりまわすねちっこさがなくなったな、と感じた。

とあって、あの”悩むことが仕事であったような”綸太郎が悩んでない!? となかなか興味津々。
そういえば綸太郎って悩んでいたよな、って非常に懐かしい。悩んでばかりいたけれど格好良かった。「わざわざ事件をこねくりまわすねちっこさ」というminkoさんの人物評も面白い。その通りだったような気がする。やはり懐かしい。
思えば探偵・法月綸太郎から僕はかなり離れているかも。『法月綸太郎の新冒険』から読んでいないのかな。『法月綸太郎の功績』は読んでないはず。時期的に2000年あたりからミステリ小説を読まなくなったからね。
だから綸太郎作品についてはもう前世紀の記憶になってしまうのか。
法月綸太郎って本格ミステリの作家だけど、ハードボイルドの要素も結構あるよなと僕は思ってた。そしてその作品のハードボイルドな感じが好きでもあった。
ミステリ小説という点で見れば、やはり『頼子のために』が良いと思うのだけど、彼のハードボイルドさが好きな者としては、『ふたたび赤い悪夢』が好きだったりする。この作品が一番ハードボイルドの感じが色濃いと思う。
と、いろいろ書いているとますます綸太郎が読みたくなってくるわけで。
来月になったら一人で綸太郎祭りでもしようかな。探偵・法月綸太郎が登場する作品を読み返してみるという祭り。でも読むのが遅いから言ってみるだけかも。
最後に、はてな法月綸太郎のキーワードにある説明文について。
なかなかよろしくないかも。
まず、代表作の選出基準がよくわからない。『ふたたび赤い悪夢』が不正確に記入されているのだけど、それはまあ良いとして、この作品があげられていることがわからない。この作品が好きな者としては嬉しくはあるけれど、この作品よりは、『誰彼』をあげる方が妥当だと思うかも。そして傑作短篇集と言っても良い『法月綸太郎の冒険』があげられていてもいいはず。と思う。
あと、ペンネーム。
法月綸太郎というペンネームはもともと彼自身がつけていたものだと思う。ただ、表記が”法月林太郎”だったはず(森鴎外でも意識したのかな?)。それが姓名判断での画数が悪いということで、島田荘司によって違う漢字をあてられたと。だから島田荘司命名というのは違うんじゃないかな。どうなんだろう。
そして作風。
いや、作風については、エラリィ・クイーンの影響を受けている、というのはもっともなので、なにも異論はないのです。だからこれから書くことはどうでも良いことではあるのです。
彼の作品にハードボイルド的な要素を見ている者としては、彼は間違いなくロス・マクドナルドの影響も受けているよなと思う。実際『パズル崩壊』の中では、「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」という作品を書いていたりもする。彼はロス・マクドナルドが結構好きなんじゃないかなと思っている。