natsukawa2005-06-09

午後から入院中の友人の話し相手になってあげようと病院に行こうかと考え、その旨を連絡しておいたのだけど、今日の天気があまりに晴れ晴れしていてその青空を眺めていると、う〜んなんか病院に行くのも面倒くせぇなぁ、って思ってしまって、やっぱり今日は行かんわ、と前言撤回メールを送信。
たまっていた洗濯物を片づけた。


今日のNHKスタジオパークからこんにちは」のゲストは太田光。序盤を少し見逃してしまったけれど、おおむね見ることができた。
この人、1人でいろいろ語るときはずいぶんと人が変わる。ホントに知的な人になる。思慮深い賢い人だよ。
番組内でふと話題になって、ああそうか、って妙に納得したのが、太田光の奥さんが社長を務める会社の社名のこと。「タイタン」っていう会社名だけれど、これはカート・ヴォネガットの『タイタンの妖女』という作品からとったのだとか。
そういえばこの作品の帯には太田光の推薦文が付いていたような気がする。彼が大きく影響を受けた作品らしい。
ヴォネガットの作品はちらほら読んでいるけれど、この作品は未読。ちょっと気になってすぐ古本屋か本屋に出かけようかと思ってしまった。
雑誌「ダ・ヴィンチ」の企画で、太田光ジョン・アーヴィングを訪ね対談しているのを見たことがあるのだけど、アーヴィングがとても好きだというようなことを言っていた記憶がある。
どうも太田光ってアメリカ文学をかなり読んでいるような気がする。外国人作家の名前をよく出しているように思う。
良い話が聞けた。


僕の場合、影響を受けた小説家といえば、迷いもせず、京極夏彦村上春樹をあげる。
先に出会ったのは京極夏彦だったはず。
確か高校3年生の夏に『姑獲鳥の夏』を手にしたのだと思う。以前からミステリ師匠*1が良いよと言っていたのが気になってたのだと思う。
1作読んだだけで見事にはまった。物事の考え方が変わったというか、考え方が明らかに多様に広がったと思う。この人の影響は大きい。
そして村上春樹は、大学2年生の時に出会ったのだと思う。
それまでの読書はミステリ小説一辺倒だった。なのに、本屋に立ちよって文庫本のコーナーをうろうろしていると、なぜだか村上春樹の『羊をめぐる冒険』が気になり買ったのだった。ネットの話題などで以前から村上春樹という名前はちらほら目にしていたのだけど、読書趣味がミステリであったために彼に興味が無くてその作品を読むことはなかった。
だから本当になぜ手にとったのかわからないのだけど、気が付けば文庫本を買っていた。
上下巻で買ったのだと思うが、上巻をちまちま読み進めるうちに、なんかすごいぞと、読書をしながらふつふつと高揚感を抱いてしまった。そんなの初めてだった。
次の日には下巻を一気読みし、その次の日には『風の歌を聴け』を買って夜のうちに一気読み。その次の日には『1973年のピンボール 』を買って一気読み。
具体的にどう影響を受けたとかは説明のしようがなく、ただただもう完全に”はまって”しまったのだった。水が体内に吸収されるように自然な”流れ”として受け入れたというか。
おそらく主人公がよく口にする”やれやれ”といったセリフから漂う空気が、当時の気だるい大学生活の心境に見事にあっていたのかもしれない。
大学生の頃はぽっかりと中途半端に時間があいてしまうことが多くて、それがなんともやるせなく思う時期があったりした。
ずいぶん昔から明確な目標はたてていた。でもそれをかなえるにはどうしても時間の経過が必要なことだった。
早くなにかをしたい――でもどんな空虚な時間の経過も必要。やれやれだ。って思ってた。
あと村上春樹でいえば、文章はかなり影響を受けたかもしれない。
とりあえず彼の文章は今まで読んだどの作家の文章より完璧です。三島由紀夫よりもね。

*1:僕をミステリの世界へいざなった幼なじみ